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産業医の資格要件(まとめ)

労働安全衛生法改定により、平成8年10月1日から、産業医として選任されるには、ある一定の要件が必要となっている。


労働安全衛生法 第十三条 第2項
産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。

法律だけでは、具体的な要件まではわからない。そこで、厚生労働省令を参照してみる。


労働安全衛生規則 第十四条 第2項
法第十三条第二項の厚生労働省令で定める要件を備えた者は、次のとおりとする。

法第十三条第一項に規定する労働者の健康管理等(以下「労働者の健康管理等」という。)を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であつて厚生労働大臣が定めるものを修了した者

医学の正規の課程であつて産業医の養成等を行うことを目的とするものを設置している産業医科大学その他の大学であつて厚生労働大臣が指定するものにおいて当該課程を修めて卒業した者であつて、厚生労働大臣が定める実習を履修したもの

労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの

学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、助教授又は講師(常時勤務する者に限る。)の職にあり、又はあつた者

前各号に掲げる者のほか、厚生労働大臣が定める者

ところが、省令を読んでも、第1号などは具体的な要件はわからないので、以下の告示が必要となる。


労働安全衛生規則第十四条第二項第一号等の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修を定める告示

平成八・九・一三
労働省告示第八〇号
改正
平成一二・一二・二五
労働省告示第一二〇号
労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)第十四条第二項第一号及び労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(平成八年労働省令第三十五号)附則第二条第一号の規定に基づき、厚生労働大臣が定める研修を次のように定め、平成八年十月一日から適用する。

労働安全衛生規則第十四条第二項第一号の厚生労働大臣が定める研修は、次の各号に定めるところにより行われる研修とする。


次に定める学科研修及び実習により行われるものであること。



学科研修は、次の(1)から(6)までに掲げる科目について、四十時間以上行われるものであること。



(1)
労働衛生一般



(2)
健康管理



(3)
メンタルヘルス



(4)
作業環境管理



(5)
作業管理



(6)
健康の保持増進対策あいうえおかきくけこさしすせそたちつてと



実習は、イの(1)から(6)までに掲げる科目について、十時間以上行われるものであること。


前号の学科研修及び実習を適切に行うために必要な能力を有する講師により行われるものであること。


一又は二以上の都道府県の区域を単位とし、当該区域内の医師を会員として民法(明治二十九年法律第八十九号)第三十四条の規定により設立された法人である医師会又は産業医科大学が行うものであること。


前三号に定めるもののほか、研修の実施について必要な事項は、厚生労働省労働基準局長の定めるところによるものであること。

労働安全衛生規則等の一部を改正する省令附則第二条第一号の厚生労働大臣が定める研修は、前項に定める研修に相当する研修であって、平成八年十月一日前に開始されたものとする。

行政解釈として示されている、平成8年9月13日基発567を読んでみて、初めて、この告示をみたすものとして、医師会認定産業医、産業医大の夏季集中講座などが該当する事がわかる。

ここで、法に厳密に照らし合わせると、どこにも、「医師会認定産業医でなければならない」とは書いていない。

厚生労働大臣が定めるものを修了すれば良いのである!!

なにが言いたいかと言うと、更新を必要としていないのである。医師会認定産業医は5年を経過すると、認定が切れる仕組みになっているが、一度修了しているという事実は変わらないので、産業医の登録に関する資格は継続するのだ。

一応、念のため、労働基準監督署の関係者に聴いてみたところ、公式ではないが、「その解釈で間違いない」と回答をいただいた。

ただし、付け加えて、「あまり、おおっぴらには言わないでください」とも言われた。

僕自身は、産業医のはしくれとして、この法律自体が間違っていると思っている。ただ、間違っているなら、正せば良いわけで、決して、

知っている一部の人だけが、回避できるという事があってはならない

と考えています。そう言うわけで、ここに公開します。一方で、医師会認定産業医が、ただ出席すればOKというお礼奉公くらいの役にしか立たないのも事実だし。

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コメント

 法律上の要件としてはそうでしょうね。
 産業医の選任届には医師免許証と産業医であることを証明する書面の写し(日医認定産業医証等)が必要ですね。
 労基署に書面をもっていくのは会社の労務担当者ですが、当然疑問を抱くでしょうね。
 更新もしないのに受理されるのか?
 更新すらしない産業医は信用できるのか?
 そこまで企業の身になって考えて、更新をぶっちぎってください。
 
 更新がいやなら労働衛生コンサルタント合格しましょう。そのほうが無難です。

投稿: 通行人 | 2009/05/24 00:48

コメントありがとうございました。記事を書いた時点と、色々、考える事が変わってはいるのですが、ご指摘の点は確かにそのとおりですね。

日医認定産業医の証書には、認定有効期限なるものが記されているので、怪しい感じは否めません。

勉強をしない産業医は、良い産業医とは言えないというのも確かですが、勉強しているという証拠にするのに医師会認定では不足で、むしろ医師会の利権的要素が強いように考えています。

投稿: 優柔不断 | 2009/05/24 02:21

 確かに利権的要素はあるでしょうね。
 現在の産業医制度は旧労働省-産業医科大学:旧厚生省---日本医師会のせめぎあいの中で両者の妥協のもとつくられたと認識しております。旧労働省側からすれば医師会認定は認めたくなかったと推定されます。妥協のための20単位といった面もあるのでしょう。
 20単位ごときでは毎年の法改正、通達をなぞるだけで終わってしまうはずですし、意味がある単位数ではないですね。
 試験にして国家資格にすると更新は不要になる可能性がありますが、産業医数は充足されんでしょうし・・・。

投稿: 通行人 | 2009/05/24 10:54

返信が遅くなって申し訳ありません。どのように返すのが良いのか、大変悩ましく・・・。通行人さんは制度制定の歴史にも明るいのですね。僕はよくその辺りは知りませんでした。

20単位が少ないのもそうですが、医師会の認定が、ポリシーを持ってその5年間の間に知らねばならぬ事を組み込んですらいないのが、問題のように思っています。

産業衛生学会のシンポジウム等なら、最近のトピックを追従しているようにも思いますが、各都道府県の講習などはまちまちで、そのどれを取っても単位になりますし、そこに座っているだけの人も多いですし。(1/3ぐらいのまじめに聞いておられる方には大変失礼ではありますが・・・~)

産業医が真面目に為されないのは、企業側からも軽視されている場合が多いためではないかと思います。最近では、健診・過重労働面接係ではないかと思う事が増えてきていますが、ひとつには、やはりどれだけ効果を示す事ができるかというのがポイントかと思います。産業保健がうまくまわっている場合には、「何も事件が起こらない」というのが一番であって、それは、即ち眼に見えてこない・・・。アピールするのも難しいですね。

投稿: 優柔不断 | 2009/06/01 10:23

>産業医が真面目に為されないのは、企業側からも軽視されている場合が多いためではないかと思います。

とのことですが、なぜ企業側から軽視されているのでしょう。まま見るのは治療者の立場で医療上の原理・原則のみ会社につきつける的スタンスの産業医が多いのでは。これも一つの軽視される理由になっていると思います。もう一つは企業の生産性向上にかかわる衛生施策を会社に立案提示できていないことでしょう。
 産業医って何?と聞かれたとき、私は会社における軍医のようなものという答えをすることがあります。参謀本部が作戦を立案し、各司令官が実施するにあたり、軍医総監が作戦を成功させるための施策を立案し、各衛生中隊が実施するわけです。
 企業についても同じです。コンプライアンスのためだけに存在する従来型では嘱託勤務で留め置いた方が無難でしょう。
 そこまでのレベルで業務を行うのであれば、企業の属する業界知識のみならず、労務管理、労働・社会保険諸法令、行政の動向などの専門知識が必要です。
 まあ、産業衛生学会にそのレベルを求めるべきでもないと思いますけれど。
 学会、講習会の講演等は底が浅いし、(深い話は守秘義務でできないし)あれでいいと思われてしまうと厳しいですね。長くてすみません。
 

投稿: 通行人 | 2009/06/01 18:03

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